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石川県能登町 【真脇遺跡縄文館】
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遺跡の環境

海岸線

旧石器時代から縄文時代前期にかけては気候がだんだんと温暖になり、海水面も上昇していった事がわかっています。これを縄文海進と呼びます。縄文海進はおよそ7000年前をピークとしており、その後海水面は徐々に下がっていきますが、真脇遺跡はそのさなかに営まれていた事になります。
多くの地質調査や自然科学分析によって、縄文時代前期末葉のイルカ層は波打ち際に近く、常に海水につかっている状態であった、ということが解明されました。現在はイルカ層のある場所より数百メートルほど離れたところに海岸線がありますから、縄文時代には今以上に陸地に入り込んだ入り江が形成されていたことがうかがえます。このような入り江の存在がイルカ漁を発展させた要因となっていると考えられます。
中期にはいると、海岸線はさらに現在の海側へと後退していったと考えられます。土壌分析からは前期末葉には波打ち際、または海であった場所に湿地帯が形成されていた可能性が高い事がわかりました。


植生

花粉分析の結果、真脇遺跡の周辺にはカシの林が多い事がわかりました。また、海岸沿いなど岩肌の露出するところにはマツ、谷沿いの湿った所にはトチノキが生育していたと考えられます。一方で遺跡のごく近いところにはクリ林が分布していました。後晩期にはナラやエノキも増加するようです。村の周りにクリが生え、それを囲むようにカシの林があった、というイメージです。

後晩期には、遺跡の前(海側)に形成された湿地にトチノキ林が分布するようになります。トチノキはクリやカシと併せて重要な植物性食料になった事でしょう。

また、周辺からはスギの花粉があまり検出されておらず、積雪がやや少なかった可能性があります。これが、この真脇という地に遺跡が形成された要因の一つであったと考えられます。


生業

真脇遺跡からは多くの動物質・植物質の遺存体が出土しています。植生分析から、植物質食料としてはクリ、カシ、トチノキなどが主要なものであった事がうかがえます。動物質食料ではもちろんイルカ、鯨類が主要な栄養源であったことは想像に難くありません。実際、イルカ層以外の場所や時期の地層からもイルカの骨は見つかっています。

これまでの調査で出土した動物遺存体の分析では、出土するもののほとんどが哺乳類で、魚類はわずかです。前期末葉のイルカ層ではそのほとんどが鯨類骨でしたが、イルカ層以外の場所における分析では、陸生の哺乳類の比率が高い状況です。

同定できるものだけでいえば、陸生哺乳類ではイノシシとニホンジカが最も多く、その他テン、ウサギ、ムササビなども出土しています。海生哺乳類は近年の調査では同定できる資料が発見できていませんが、イルカ層の調査ではカマイルカが卓越して多く、次にマイルカ、バンドウイルカと続きます。アシカも少量ですが出土しています。魚類はサメ類、フグ類、ベラ科が主体となりますが、イルカ層から検出されたものをみると、サバやカツオといったものも獲っていたようです。鳥類はウ科など、冬に渡ってくる海鳥が多くみられます。貝はまだ見つかっていません。

イルカの出土が中期以降少なくなる理由については、入り江の陸化が進みイルカ漁が難しくなったか、またはイルカの解体場所が別の場所へ移ったためと考えられます。


真脇遺跡について

遺跡の環境
イルカ漁のムラ
特異な住居跡
なぞの環状木柱列
仮面のまつり
縄文時代の墓制  
なぞの彫刻柱 
史跡整備情報

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