前期層のイルカ骨を取り上げたところ、彫刻が施された大きな丸柱が出現しました。長さ2m52p、最大径45pのクリの丸太で作られています。上半には横溝を彫ることによって3段の隆帯をつくり出し、それぞれに何かを彫刻しています。中段は最も幅広で、中央に縦長の楕円を彫り、その左右に三日月形の刻みを2条ずつ配しています。上段は腐食が激しいので不明ですが、下段には蓮弁状の切り込みが認められます。根元の方は遺存状態はきわめて良好で石斧で伐った痕がよくわかります。このことから湿地帯のような水の多い地面に、根元を埋めて立ててあったものと推定されます。イルカ骨が散乱していた、この彫刻柱の出土場所は、当時、河口付近の湿地帯でした。おそらく、出土地点付近に立てられたのでしょう。それでは用途は何だったのでしょうか。推論の域を出ませんが、出土状況やアイヌの民俗例から、真脇縄文人のこの上ない獲物であるイルカの霊送りの祭具であった可能性が指摘できます。アイヌには、よく知られたクマ送りの儀式(イオマンテ)がありますが、海岸部では捕えたクジラの魂を神の国に送り届ける儀式で、柱を立てたことが報告されています。イルカ骨の大量に出土した場所は、たんなるゴミ捨て場ではなく、イルカ送りの祭場でもあったのかもせれません。
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